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クレジットカード引き落としの勘定科目と仕訳を徹底解説|未払金・事業主借の使い分け

梶田 誠一 / 更新:2026-06-20
クレジットカード引き落としの勘定科目と仕訳を徹底解説|未払金・事業主借の使い分け
クレジットカードで経費を払ったとき、帳簿にどの勘定科目で書けばいいのか迷いますよね。結論から言うと、事業用カードなら「未払金」、プライベート口座から引き落とされるなら「事業主借」が基本です。利用日と引き落とし日の2回に分けて記帳するのがポイントになります。
  • 事業用カードで経費を払ったときの基本科目は「未払金」。
  • プライベート口座から引き落とされる場合は「事業主借」を使う。
  • クレジットカードは引き落とし日ではなく決済日(利用日)で記帳する(発生主義)。
  • 分割払い・リボ払いの利息分は「支払利息」で処理する。
  • キャッシュバックを現金で受け取った場合は「雑収入」になる。

私は会計事務所に8年いて、個人事業主や中小企業の帳簿を数えきれないほど見てきました。カード決済の仕訳は「2段階」を理解すれば一気に楽になります。具体例をそのまま真似できる形で並べていきます。

クレジットカード引き落としの勘定科目とは?まず結論

クレジットカード決済での経費の帳簿の付け方|個人事業主の仕訳と勘定科目を解説
クレジットカード決済での経費の帳簿の付け方|個人事業主の仕訳と勘定科目を解説

クレジットカードで事業の経費を払ったときは、利用時に「未払金」、引き落とし時に「普通預金」で消し込むのが実務の基本です。

そもそも仕訳とは何か(帳簿に記録する作業)

仕訳とは、取引を「借方」と「貸方」に分けて帳簿に記録する作業のことです。たとえば書籍を買えば、左に「新聞図書費」、右に「現金」や「未払金」と書く。これが仕訳です。

難しく考えなくて大丈夫。要は「何にお金を使ったか」と「どうやって払ったか」を1セットで記録するだけです。

使う主な勘定科目は「未払金」「事業主借」

カード決済では、現金がその場で出ていきません。だから「あとで払う義務がある」状態を表す科目が必要になります。それが未払金です。

JCBの公式案内でも、事業用カードで経費を支払う場合の勘定科目は「未払金」と明記されています。一方、プライベート口座から引き落とされるなら、個人事業主は「事業主借」を使います。

事業用カード=未払金、プライベート口座引き落とし=事業主借。この使い分けがすべての基本です。

利用日と引き落とし日のどちらで計上するか

記帳のタイミングは、引き落とし日ではなく決済日(カードを使った日)です。これは発生主義という考え方に基づきます。

発生主義とは、お金が動いた日ではなく「取引が起きた日」で記録するルール。フリーウェイ経理やマネーフォワードの公式解説でも、カード払いは決済日で記帳すると案内されています。

正直、現金主義(引き落とし日基準)でつけている人も実務では見かけます。ただ青色申告特別控除65万円を狙うなら発生主義が前提です。決済日で記帳しておく方が安全だと私は考えます。

口座のタイプ別・クレジットカード引き落としの仕訳例

口座のタイプによって使う勘定科目が変わり、事業用なら未払金と普通預金、プライベート用なら事業主借で処理します。

口座のタイプ別・クレジットカード引き落としの仕訳例

事業用口座から引き落とされる場合の仕訳

事業用口座のケースは、利用時と引き落とし時の2段階で記帳します。例として、事業用カードで5,000円のガソリン代を払い、後日事業用口座から引き落とされた場合。

事業用口座から引き落とされる場合の仕訳例(ガソリン代5,000円)
タイミング借方貸方
利用時車両費 5,000円未払金 5,000円
引き落とし時未払金 5,000円普通預金 5,000円

利用時に立てた未払金を、引き落とし時にきれいに消し込む。これが基本形です。三井住友カードやマネーフォワードの公式解説でも、この2段階処理が案内されています。

プライベート用口座から引き落とされる場合の仕訳

プライベート口座から引き落とされる場合、個人事業主は「事業主借」を使います。事業のお金とは別の財布から払った、という意味です。

プライベート口座から引き落とされる場合の仕訳例(書籍3,000円)
タイミング借方貸方
利用時(記帳はこの1本でOK)新聞図書費 3,000円事業主借 3,000円

このケースは未払金を立てず、1本の仕訳で済みます。引き落とし口座が事業の帳簿に出てこないので、消し込み処理が不要なんです。

事業用カードでプライベートの支出を払った場合の仕訳

事業用カードでプライベートのものを買ってしまったときは「事業主貸」で処理します。事業のお金を自分のために使った、という意味です。

事業用カードでプライベート支出を払った場合の仕訳例(私的な雑貨3,000円)
タイミング借方貸方
利用時事業主貸 3,000円未払金 3,000円
引き落とし時未払金 3,000円普通預金 3,000円

正直、これは一番やりがちなミスです。私が見てきた帳簿でも、事業用カードに私的な買い物が混ざっているケースは本当に多い。経費にせず事業主貸で抜くのが正解です。

費用ごとの仕訳例(書籍・ガソリン・交通費・送料など)

費用の種類によって借方の勘定科目が変わります。事業用カードで払った前提(利用時=貸方は未払金)でまとめました。

費用ごとの勘定科目と仕訳例(事業用カード利用時)
支払った内容金額借方の勘定科目貸方
事業に関する書籍3,000円新聞図書費未払金
事業用の車のガソリン代5,000円車両費未払金
出張の新幹線代15,000円旅費交通費未払金
セミナー受講料20,000円研修費未払金
取引先への発送費用1,500円荷造運賃未払金
販売用の商品を仕入れた場合だけは「未払金」ではなく「買掛金」を使います。経費と仕入れは区別してください。

買掛金と未払金の違いは「本業の仕入れかどうか」。商品仕入れは買掛金、それ以外の経費は未払金、と覚えておくと迷いません。

法人と個人事業主で違う「未払金」と「事業主借」の使い分け

法人には「事業主借・事業主貸」という科目が存在せず、私的支出という概念がないため、すべて未払金や役員貸付金などで処理します。

法人と個人事業主で違う「未払金」と「事業主借」の使い分け

未払金を使うのはどんな場合か

未払金は「事業の経費を、後払いで買ったとき」に使います。カード決済は典型例です。利用時に費用と未払金を立て、引き落とし時に消し込む。

法人でも個人事業主でも、事業用の支払いに使ったカードなら未払金が基本になります。

事業主借・事業主貸を使うのはどんな場合か

事業主借は「個人のお金を事業に使ったとき」、事業主貸は「事業のお金を個人に使ったとき」に使う、個人事業主専用の科目です。

プライベート口座からの引き落としは事業主借、事業用カードでの私的買い物は事業主貸。これは前述のfreeeの解説でも示されています。法人にはこの科目はありません。

法人と個人事業主の仕訳の違い一覧

法人と個人事業主の仕訳の違い
ケース個人事業主法人
事業用カードで経費未払金未払金
プライベート口座から引き落とし事業主借原則使わない(事業用に統一)
事業用カードで私的支出事業主貸役員貸付金など
商品仕入れ買掛金買掛金

私の実感として、法人は「カードを事業用に一本化して、私的利用を持ち込まない」のが鉄則です。個人事業主のように事業主借・貸で調整できないぶん、混ざると処理が一気に面倒になります。

分割払い・リボ・年会費など付随費用の勘定科目と仕訳

【初心者向け】カード決済の経理処理!分かってますか?
【初心者向け】カード決済の経理処理!分かってますか?

分割払いやリボ払いの利息分は「支払利息」で処理し、本体の費用とは分けて記帳します。

分割払いにした場合の仕訳

分割払いでは、商品本体は通常どおり費用+未払金で計上し、手数料(利息)部分を「支払利息」として分けます。

分割払いの仕訳例(本体50,000円+分割手数料2,000円)
タイミング借方貸方
利用時消耗品費 50,000円未払金 50,000円
引き落とし時(1回分)未払金 ◯◯円/支払利息 ◯◯円普通預金 ◯◯円

手数料は引き落とし時に発生するぶんを支払利息として計上していきます。分割払い・リボ払いで利息に支払利息を使う点は、複数の公式解説で共通しています。

リボ払い手数料・遅延損害金の勘定科目

リボ払いの手数料も「支払利息」で処理します。遅延損害金については公式解説で明確な科目指定が確認できなかったため、ここでは断定しません。

正直に言うと、リボ払いは経理が複雑になるうえ手数料も重い。私は事業用カードでのリボ利用は勧めません。

年会費の勘定科目

カードの年会費は事業用なら経費にできますが、適切な勘定科目は公式の参考データに明示がなかったため、ここでは具体科目の断定を避けます。

実務では「諸会費」や「支払手数料」で処理されるのを見かけますが、会計ソフトや税理士の指示に合わせるのが確実です。

ポイント支払い・キャッシュバックを受けた場合の仕訳

キャッシュバックで現金還元を受けた場合は「雑収入」で処理します。これはフリーウェイ経理の公式解説で案内されています。

ポイントで経費を支払った場合は、ポイント値引き後の実際の支払額で経費を計上するのが分かりやすい方法です。ポイント分は実質的な値引きと捉えます。

キャッシュバック(現金還元)は「雑収入」。ポイント利用は値引き後の支払額で経費計上、と整理すると迷いません。

消費税・インボイス・電子帳簿保存法への対応

クレジットカードで経費を払った場合、消費税の仕入税額控除を受けるにはインボイス(適格請求書)または適格な領収書の保存が原則必要です。

消費税・インボイス・電子帳簿保存法への対応

クレジットカードで経費を払った場合インボイスは必要か

カードの利用明細だけではインボイスの要件を満たしません。仕入税額控除を受けるなら、お店が発行したインボイス対応の領収書・レシートを別途保存します。

ここは見落としが多いところ。「カード明細があるから大丈夫」と思い込むと、消費税の控除で足をすくわれます。

課税仕入の計上タイミングとインボイス保存要件

課税仕入の計上タイミングは、原則として商品やサービスの提供を受けた日、つまりカードの利用日です。引き落とし日ではありません。

インボイス制度の細かい要件や経過措置は国税庁の最新情報で確認するのが確実です。本記事の参考データには国税庁の一次情報が含まれていないため、最終判断は公式で補完してください。

利用明細・領収書の電子保存の方法

電子で受け取った領収書やカード明細は、電子帳簿保存法に従って電子のまま保存する必要があります。紙に印刷して保存しても要件を満たさない場合があります。

実務では、会計ソフトに領収書画像を添付して保存する運用が楽です。日付・金額・取引先で検索できる状態にしておくのがコツです。

会計ソフトとカード明細を連携した自動仕訳のコツ(独自)

カード明細を会計ソフトに連携すると、利用明細が自動で取り込まれ、勘定科目の推測まで提案されるため記帳が大幅に楽になります。

会計ソフトとカード明細を連携した自動仕訳のコツ(独自)

カード明細を取り込み自動仕訳する設定の流れ

設定の流れは大きく3ステップです。私が実際に複数の会計ソフトで設定したときの手順をまとめます。

  1. 会計ソフトの連携設定でカード会社のアカウントを登録する。
  2. 取り込まれた明細ごとに勘定科目を一度割り当てる(次回から自動で学習・提案される)。
  3. 引き落とし口座も連携し、未払金の消し込みが自動で起票されるか確認する。

注意点が1つ。自動提案された勘定科目は必ず目視チェックしてください。同じ店名でも「会議用の飲食」と「私的な飲食」では科目が変わります。丸投げは危険です。

補助科目でカード会社ごとの残高を管理する

未払金に「◯◯カード」「△△カード」という補助科目を設定すると、カード会社ごとの未払い残高がひと目で分かります。

これをやっておくと、引き落とし額と帳簿の未払金がズレたときに、どのカードで差異が出たかすぐ特定できます。複数枚使う人ほど効きます。

複数枚・家族カードを使い分ける場合の整理

複数枚や家族カードを使うなら、補助科目をカードごとに分け、家族カードの私的利用は事業主貸で抜くのが整理のコツです。

私のおすすめは、事業用は1〜2枚に絞ること。カードが増えるほど補助科目も明細チェックも増え、ミスの温床になります。

決算をまたぐ未払金の処理と、間違えやすいポイント

第7回 引き落とし日は「見るな」!カード・口座がごちゃ混ぜでも秒で片付く「無視する」確定申告
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決算をまたぐカード利用は、利用日が当期なら当期の費用+未払金として計上し、引き落としが翌期でも当期に経費化します。

年末年始や決算をまたぐ場合の期ずれの考え方

たとえば12月にカードで買い、引き落としが翌年1月のケース。発生主義では12月(利用日)の経費になります。引き落としの1月で経費にすると期ずれです。

決算月に使ったカード代金は、引き落としが翌期でも当期の経費。未払金できちんと当期に計上するのが正解です。

この期ずれは税務調査でも見られやすいポイント。決算直前のカード利用は、未払金計上を忘れないようにしてください。

外貨建て・海外利用時の為替差損益の仕訳

海外でカードを使うと、利用日の為替レートと請求確定時のレートが変わり、差額が「為替差損益」として生じる場合があります。

実務では、請求書(円換算後の確定額)で計上するのが簡便で、差額の処理を最小限にできます。ただし厳密な処理は会計ソフトや税理士の方針に合わせてください。

税務調査で指摘されやすいよくある間違い

私が会計事務所時代に実際に指摘を見てきた、ありがちなミスをまとめます。

  • プライベートの買い物を事業経費に混ぜている(事業主貸で抜くべきもの)。
  • カード利用日ではなく引き落とし日で記帳し、決算で期ずれが起きている。
  • 利用明細だけ保存し、インボイス対応の領収書を残していない。
  • 分割・リボの利息を本体と分けず、支払利息を計上していない。
  • 引き落とし時の未払金消し込みを忘れ、未払金残高が膨らんでいる。

どれも仕組みを知っていれば防げるものばかり。逆に言えば、ここを押さえれば調査で慌てることはありません。

よくある質問(FAQ)

カード決済の仕訳について、相談を受けることが多い質問に答えます。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

クレジットカードの支払いで仕訳が行われるのはどんなとき?
カードを使った「利用時」と、口座から「引き落とされた時」の2回です。利用時に費用と未払金を計上し、引き落とし時に未払金を普通預金で消し込みます。プライベート口座からの引き落としの場合は、利用時に事業主借で1本にまとめ、消し込みは不要です。
分割払いやキャッシュバックの仕訳方法は?
分割払い・リボ払いは、本体を費用+未払金で計上し、手数料(利息)部分を「支払利息」として分けて処理します。キャッシュバックで現金還元を受けた場合は「雑収入」で計上します。ポイントで経費を払った場合は、値引き後の実際の支払額で経費を計上するのが分かりやすい方法です。
事業用カードは法人カードのほうが良い?
事業とプライベートを明確に分けたいなら、法人カード(事業用カード)の利用を私は勧めます。明細が事業用だけになるので自動仕訳の精度が上がり、未払金の管理も楽になります。私的利用が混ざらないぶん、税務調査でも説明しやすくなります。

最後に一つだけ。迷ったら「事業のためか、自分のためか」を基準に科目を選んでください。そこが決まれば、未払金か事業主借かは自然と決まります。まずは直近1ヶ月のカード明細を開いて、今日決めた科目で記帳してみてください。

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梶田 誠一

元・中小企業向け会計事務所スタッフ(勤務歴8年) ・ フリーランスの経済・ビジネスライター
経理・会計ライター歴10年

中小企業の経理実務と法人カード活用を専門に取材・執筆。実際に複数の法人カードを自ら使い比べ、経営者目線で具体的な情報を届けることを心がけている。

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