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クレジットカードの仕訳を勘定科目・記入例つきで徹底解説

梶田 誠一 / 更新:2026-06-19
クレジットカードの仕訳を勘定科目・記入例つきで徹底解説
クレジットカードで経費を払ったとき、いつ・何の勘定科目で記帳すればいいのか迷っていませんか。結論はシンプルで、利用した日に「未払金」、引き落とされた日に「普通預金」で消し込む。この2段階が基本です。

なぜ2回に分けるのか、未払金や事業主借といった科目をどう選ぶのか。私が会計事務所で実際に新人へ教えていた順番で、根拠から具体的な記入例まで一気に説明します。

この記事で分かること。発生主義と現金主義の違い、事業用・プライベート別の仕訳、分割払いや年またぎ決済の処理、会計ソフトへの自動取込の手順。金額入りの例を全部のせています。

クレジットカードの仕訳とは?基本の考え方

【初心者向け】カード決済の経理処理!分かってますか?
【初心者向け】カード決済の経理処理!分かってますか?

クレジットカード決済の記帳がややこしく感じるのは、お金が動くタイミングと経費が発生するタイミングがズレるからです。ここを押さえると、あとは応用が利きます。

弥生の公式案内でも、クレジットカードの記帳は原則として発生主義で行うため、利用時と引き落とし時の2段階処理になると説明されています。

そもそも「仕訳」とは何か

仕訳とは、取引を「借方」と「貸方」の2つに分けて帳簿に記録する作業のことです。難しく聞こえますが、要は「何が増えて、何が減ったか」を左右に振り分けるだけ。

たとえば現金で5,000円の文房具を買ったら、左に「消耗品費5,000円」、右に「現金5,000円」。これだけで1つの仕訳が完成します。

クレジットカード決済で仕訳が必要になる流れ

カード決済は、お店で使った瞬間に銀行口座からお金が出ていくわけではありません。後日まとめて引き落とされる。だから記帳も2回に分かれます。

利用した日は、まだ払っていないけれど払う義務が発生した状態。ここで「未払金」という負債を立てます。引き落としの日に、その未払金を消して「普通預金」を減らす。これで取引が完結します。

カード決済の2段階仕訳(例:10,000円の経費)
タイミング借方貸方
利用時消耗品費 10,000未払金 10,000
引き落とし時未払金 10,000普通預金 10,000

発生主義と現金主義の違いをやさしく解説

発生主義は「取引が発生した日」で記帳する考え方。現金主義は「お金が動いた日」で記帳する考え方です。カードの仕訳が2段階になるのは、発生主義を採るからです。

青色申告で65万円控除を狙うなら、発生主義での複式簿記が前提になります。正直、ここは現金主義に逃げず発生主義で揃えたほうが、後で帳簿の整合が取りやすい。私はそう考えています。

発生主義と現金主義の違い
項目発生主義現金主義
記帳の基準日取引が発生した日現金が動いた日
カード利用時未払金を計上記帳しない
引き落とし時未払金を消し込むここで初めて記帳
向いている人青色申告55万・65万控除小規模・簡易な記帳

クレジットカード決済で使う勘定科目と税区分

カード仕訳でつまずく最大の理由は、科目選びです。未払金、事業主借、買掛金。似て非なるものを、使い分ける基準ごと整理します。

クレジットカード決済で使う勘定科目と税区分

マネーフォワードやfreeeの公式解説でも、事業経費をカードで払った場合は利用時点で未払金を計上し、引き落とし時に消し込むのが基本だと案内されています。

「未払金」を使う基本パターン

未払金は「将来支払う義務がある負債」です。Freeway経理の解説でも、未払金はこの性質の負債として扱うと説明されています。

事業用カードで備品や接待費、通信費を払ったとき。これは全部、利用時に未払金で立てる。迷ったらまず未払金、と覚えておくと事故が減ります。

未払金・未払費用・買掛金の使い分け

ここが一番混乱しやすい。3つの違いを一度きちんと整理しておきます。

買掛金は「販売用に仕入れた商品」の代金。前述のFreeway経理の解説でも、販売用商品の仕入れは未払金ではなく買掛金を使うと注意喚起されています。仕入れ以外の経費は未払金。これが分かれ目です。

3つの負債科目の使い分け
科目使う場面具体例
未払金仕入れ以外の経費・備品の後払い消耗品、通信費、接待費をカード払い
買掛金販売用商品・原材料の仕入れ小売店が商品をカードで仕入れた
未払費用継続的な役務でまだ請求が来ていない分家賃や利息の期末未払分

「事業主借」「事業主貸」を使う場面

個人事業主だけが使う、ちょっと特殊な科目です。事業とプライベートのお金の橋渡しに使います。

三井住友カードの解説によると、個人用カードで事業経費を払った場合は「事業主借」で処理します。事業のお金を、事業主が立て替えた、というイメージです。

逆に、事業用カードでプライベートの買い物をしたら「事業主貸」。同じ解説で、この場合は事業主貸で処理すると案内されています。

消費税の課税・非課税・不課税の区分とインボイス対応

課税事業者なら、仕訳のたびに税区分を選びます。物品やサービスの購入は基本「課税仕入れ」。一方で、海外利用や保険料などは非課税・不課税になる場合がある。会計ソフトの初期設定を一度見直しておくと楽です。

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために登録番号の入った適格請求書が原則必要です。カードの利用明細だけでは適格請求書の要件を満たさないことが多い。店舗が発行する領収書やレシートを別途保存しておく必要があります。

ケース別・具体的な仕訳の記入例

ここからは金額入りで、そのまま真似できる形にします。三井住友カードの解説では、カード決済で仕訳が必要になる典型例として、事業用口座からの引き落とし、個人口座からの引き落とし、事業用カードでの私的支出の3パターンが整理されています。順に見ていきます。

ケース別・具体的な仕訳の記入例

事業用口座から引き落とされる場合の仕訳

いちばん素直なパターンです。事業用カードで使い、事業用口座から落ちる。

事業用口座からの引き落とし(消耗品3,000円)
タイミング借方貸方
利用時消耗品費 3,000未払金 3,000
引き落とし時未払金 3,000普通預金 3,000

プライベート口座から引き落とされる場合の仕訳

個人用カードで事業経費を払い、プライベート口座から落ちる場合。引き落とし口座は帳簿に載せないので、利用時の1回だけで完結します。

個人用カードで事業経費(通信費5,000円)
タイミング借方貸方
利用時(これだけ)通信費 5,000事業主借 5,000

プライベート口座の引き落としは事業の帳簿に関係ないため記帳しません。ここを二重に書いてしまうミスが本当に多い。1回で終わり、と覚えてください。

事業用カードでプライベートの支出を払った場合

うっかり事業用カードで私物を買ってしまった。よくあります。この場合は事業主貸で逃がします。

事業用カードで私的支出(8,000円)
タイミング借方貸方
利用時事業主貸 8,000未払金 8,000
引き落とし時未払金 8,000普通預金 8,000

分割払い・リボ払い・キャッシュバックの仕訳

分割払いやリボ払いの手数料は、本体価格と分けて処理します。Dinersやbill oneの解説では、これらの手数料は「支払利息」として処理すると案内されています。

分割払い(本体30,000円+手数料1,500円)
タイミング借方貸方
利用時消耗品費 30,000未払金 30,000
手数料計上支払利息 1,500未払金 1,500

キャッシュバックを受けたときは「雑収入」。前述の三井住友カードやDinersの解説でも、キャッシュバックは雑収入として処理すると案内されています。たとえば1,000円のキャッシュバックなら、借方に普通預金1,000、貸方に雑収入1,000です。

年をまたぐ決済と各種手数料の処理

クレジットカード決済での経費の帳簿の付け方|個人事業主の仕訳と勘定科目を解説
クレジットカード決済での経費の帳簿の付け方|個人事業主の仕訳と勘定科目を解説

競合記事が意外と薄いのが、この年またぎの処理です。ここを雑にやると決算がズレます。発生主義で記帳していれば、実はそんなに難しくありません。

12月利用・翌1月引き落としの期ズレ処理と決算整理

12月に使って、引き落としは翌年1月。個人事業主なら年末が決算です。発生主義では「使った12月」に経費を計上します。

12月利用・翌1月引き落とし(経費20,000円)
日付借方貸方
12月(利用時)消耗品費 20,000未払金 20,000
翌1月(引き落とし)未払金 20,000普通預金 20,000

ポイントは、未払金を立てておけば12月の経費にちゃんと入ること。引き落としが翌年でも、12月の決算に反映されます。現金主義のクセで引き落とし日に経費計上すると、年がズレてしまう。ここは要注意です。

年会費・遅延損害金・リボ手数料の勘定科目

カード関連の支払いは、種類で科目が変わります。一覧にしておきます。

カード関連の支払いと勘定科目
支払いの種類勘定科目
年会費(事業用カード)支払手数料 または 諸会費
分割・リボの手数料支払利息
遅延損害金支払利息 または 雑損失

年会費は支払手数料で処理することが多いです。個人用カードで私的利用もある場合は、事業按分が必要になる点だけ頭に入れておいてください。

外貨建て・海外利用時の為替差損益の処理

海外でカードを使うと、利用日と請求確定日でレートが変わります。差額が出たら「為替差損益」で調整します。

実務では、明細に記載された円換算後の請求額をそのまま経費にしてしまうのが一番シンプルです。厳密にレート差を追うのは、金額が大きいときだけで十分だと私は考えています。

返品・キャンセル・チャージバック時の取消仕訳

返品したら、最初の仕訳を逆にして打ち消します。利用時に「消耗品費/未払金」で立てたなら、取消は「未払金/消耗品費」。

すでに引き落とし済みで後から返金された場合は、普通預金を増やして経費を取り消す形にします。明細で返金が確認できたタイミングで処理すれば大丈夫です。

間違えやすいケースと訂正仕訳・証憑の保存

税務調査で指摘されやすいのは、科目の取り違えと証憑の不備です。失敗しやすい所を先に潰しておきましょう。

間違えやすいケースと訂正仕訳・証憑の保存

勘定科目を間違えやすいケースと修正方法

一番多いのは、未払金と買掛金の混同。販売用の仕入れなのに未払金で立ててしまうケースです。前述のFreeway経理の注意点どおり、仕入れは買掛金が正解。

間違いに気づいたら、誤った仕訳を反対仕訳で打ち消し、正しい仕訳を立て直します。会計ソフトなら該当の仕訳を直接修正してもいい。期をまたいでいなければ、訂正はそれほど怖くありません。

ポイントで支払った経費は計上できるか

ポイントで払った分の扱いは、考え方が分かれます。Dinersやbill one、JCBの解説では、ポイント利用は「値引き」または「雑収入」として扱う考え方があると案内されています。

さらに前述のDinersの解説では、全額ポイント払いの場合は記帳不要とされています。実費が発生していないなら経費もゼロ、という理屈です。一部ポイント・一部現金なら、現金で払った分だけを経費にするのが無難です。

利用明細・領収書の保存義務と電子帳簿保存法対応

カードの利用明細は、原則として帳簿書類の保存対象です。インボイス対応の観点でも、店舗発行のレシートや領収書はあわせて残しておきたい。

電子帳簿保存法では、メールやサイトからダウンロードした電子の請求書・明細は、電子のまま保存するのが原則です。紙に印刷して保管、では要件を満たさない場合があるので、ここは早めに運用を固めておくと安心です。

会計ソフトと連携した仕訳の効率化

正直に言うと、カードの仕訳は手入力でやるものではありません。明細を自動で取り込めば、毎月の作業は劇的に減ります。私が複数の法人カードを使い比べて一番ありがたいと感じたのが、この連携機能でした。

会計ソフトと連携した仕訳の効率化

カード明細データの自動取込と会計ソフト連携の手順

freeeやマネーフォワードでは、カード会社と連携すると利用明細が自動で取り込まれ、勘定科目を推測して仕訳候補を出してくれます。あとは科目を確認して登録するだけ。

手順はシンプルです。会計ソフトの連携画面でカード会社を選び、カードのIDとパスワードで認証する。これで以降の明細が自動で流れ込みます。最初の科目割り当てルールだけ丁寧に設定しておくと、2か月目からはほぼ確認作業で済みます。

補助科目を使ったカード会社別・利用者別の残高管理

カードを複数枚使っているなら、未払金に補助科目を付けるのを強くおすすめします。「未払金/A社カード」「未払金/B社カード」と分ける。

こうしておくと、どのカードにいくら未払いが残っているか一目で分かります。引き落とし額と帳簿が合わないとき、原因の切り分けが一気に楽になる。地味ですが、効く工夫です。

デビットカード・電子マネー・QRコード決済との違い

クレジットカードとそれ以外では、未払金が出るかどうかが変わります。デビットは即時引き落とし、つまり利用と支払いが同時。だから未払金を立てません。

決済手段ごとの仕訳の違い
決済手段利用時の貸方未払金の有無
クレジットカード未払金あり(後払い)
デビットカード普通預金なし(即時引き落とし)
電子マネー(前払い)前払金 などチャージ時に資産計上
QRコード決済紐づけた支払元によるクレカ紐づけなら未払金

法人カードの活用と立替経費の精算

青色申告65万円控除のためのクレカ・電子マネーの会計処理を徹底解説!ちゃんと処理しないと10万円控除になってしまいます。
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法人なら、カードの仕訳は経費管理そのものに直結します。誰が何に使ったかを後から追えるかどうかで、決算前の手間がまるで変わります。

個人カードと法人カードの仕訳上の違い

法人カードは引き落とし口座が法人口座なので、事業主借・事業主貸という概念がそもそも要りません。利用時に未払金、引き落とし時に普通預金。この基本形だけで回ります。

個人事業主が個人カードを兼用していると、事業分とプライベート分の仕分けが毎月発生します。経費とプライベートを物理的に分けたいなら、事業用のカードを1枚持つのが結局いちばん早い。私はそう思います。

役員・従業員の立替経費とカード決済の精算仕訳

従業員が自分のカードで経費を立て替えた場合は、いったん未払金(または未払費用)で立て、精算時に現預金で支払います。

従業員の立替精算(旅費12,000円)
タイミング借方貸方
立替の経費計上旅費交通費 12,000未払金 12,000
本人へ精算未払金 12,000現金 12,000

法人カードを従業員に持たせれば、この立替・精算のひと手間がまるごと消えます。利用者別に明細が分かれるので、補助科目と組み合わせれば管理は相当ラクになります。

クレジットカードの仕訳に関するよくある質問

最後に、検索でよく一緒に調べられる質問へ短く答えます。

クレジットカードの仕訳に関するよくある質問

よくある質問

仕訳とは何ですか?
取引を借方と貸方の2つに分けて帳簿に記録する作業です。「何が増えて何が減ったか」を左右に振り分けます。クレジットカードでは、利用時に未払金を計上し、引き落とし時に消し込む2段階で記帳します。
クレジットカードの支払いで仕訳が行われるのはどんなとき?
カードを利用した日と、代金が引き落とされた日の2回です。発生主義で記帳するため、弥生の案内でも利用時と引き落とし時の2段階処理になるとされています。個人カードで事業経費を払った場合は事業主借を使い、引き落とし時の記帳は不要です。
分割払いやキャッシュバックの仕訳方法は?
分割払いやリボ払いの手数料は支払利息で処理します。キャッシュバックは雑収入として計上します。いずれも本体価格と手数料・収入を分けて記帳するのがポイントです。

カードの仕訳は、未払金と発生主義さえ腹落ちすれば、あとは型の繰り返しです。まずは自分のカードに補助科目を1つ設定するところから始めてみてください。それだけで、来月の帳簿がだいぶ見やすくなります。

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梶田 誠一

元・中小企業向け会計事務所スタッフ(勤務歴8年) ・ フリーランスの経済・ビジネスライター
経理・会計ライター歴10年

中小企業の経理実務と法人カード活用を専門に取材・執筆。実際に複数の法人カードを自ら使い比べ、経営者目線で具体的な情報を届けることを心がけている。

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