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クレジットカード経費の仕訳と確定申告を徹底解説|領収書や注意点も

梶田 誠一 / 更新:2026-06-19
クレジットカード経費の仕訳と確定申告を徹底解説|領収書や注意点も
クレジットカードで経費を払ったけど、領収書がないし、利用日と引き落とし日もズレてる。これってどう仕訳すればいいの——確定申告前に、私もよく相談を受けます。結論から言うと、カード払いでも領収書は不要、利用明細やレシートで処理でき、計上は「使った日」が基本です。

私は会計事務所で8年、その後フリーで法人カードを使い比べてきました。この記事では、仕訳の実例から年度跨ぎの期ズレ処理、インボイス・電子帳簿保存法の注意点まで、つまずきやすい所を順に潰していきます。

特に競合記事で薄い「引き落としが翌年になる期ズレ」「私的利用の按分」「税務調査で見られる点」を厚めに書きました。ここだけでも読んでおくと、後で否認される事故を避けられます。

クレジットカードで経費を支払うとは?基本の考え方

【初心者向け】カード決済の経理処理!分かってますか?
【初心者向け】カード決済の経理処理!分かってますか?

まず大前提から。クレジットカード決済でも、その支出が事業に関係していれば経費にできます。支払方法は関係なく、見られるのは取引の実態が事業用かどうかです。

クレジットカード払いの経費に領収書は必要か

カード払いで店から渡される「ご利用控え」は、実は領収書ではありません。支払いがまだ完了していない段階の書類だからです。

このため印紙税の課税文書にもならず、収入印紙は不要です。正直、ここを誤解している経営者はかなり多い。

領収書の代わりになる利用明細やレシート

領収書がなくても困りません。要件を満たした利用明細やレシートが、経費の証拠(証憑)として使えます。

ただし「あればいい」わけではない。日付・金額・購入した内容・相手先がそろっているかが肝心です。これが欠けると証憑として不十分になります。

経費計上のタイミングは利用日が基本

ここが一番間違えやすいところ。経費を認識するのは引き落とし日ではなく、原則として「商品の引渡し」または「サービスの提供を受けた日」、つまりカードを使った日です。

3月に使って4月に引き落とされても、原則は3月の費用。年度をまたぐと、この差がそのまま申告のズレになります。後半で具体例を出します。

クレジットカードで支払った経費の仕訳と確定申告の方法

仕訳の書き方は、選ぶ申告制度と、事業用カードを分けているかで変わります。カード決済は未払金などを使って処理するのが一般的です。

クレジットカードで支払った経費の仕訳と確定申告の方法

単式簿記と複式簿記の記帳方法の違い

記帳方法は大きく2つ。違いをざっくり表にします。

単式簿記と複式簿記の違い
項目単式簿記複式簿記
記帳の考え方現金の出入りを中心に記録取引を借方・貸方の両面で記録
主な対象白色申告・簡易な青色申告青色申告65万円控除を狙う場合
手間少ない多い(ただし会計ソフトで軽くなる)

カード払いは「使った日」と「引き落とし日」が分かれるので、複式簿記の方が実態に合わせやすい。65万円控除を取るなら複式簿記が前提です。

事業用カードを分けていない場合の仕訳例

個人用カードで事業の備品を1万円買い、後日その人の生活口座から引き落とされたケース。事業の帳簿には「事業主借」を使います。

利用日:(借方)消耗品費 10,000 /(貸方)事業主借 10,000。これで終わり。事業用の口座を経由しないので、未払金は登場しません。

事業主借とは、事業のお金ではなく事業主個人のお金で立て替えた、という意味の勘定科目です。

個人用と事業用カードを分けている場合の仕訳例

事業用カードで同じ1万円の備品を買った場合は、未払金を使います。

利用日:(借方)消耗品費 10,000 /(貸方)未払金 10,000。引き落とし日:(借方)未払金 10,000 /(貸方)普通預金 10,000。

二段階に分けるのが面倒に見えますが、これが正しい姿。利用日で費用を立て、引き落とし日で支払いを消し込みます。

青色申告65万円控除を受けるためのポイント

65万円控除には複式簿記での記帳、貸借対照表と損益計算書の提出、そして電子申告(または優良な電子帳簿保存)が必要です。

カード経費を未払金で正しく期間配分しておくこと。これを怠ると貸借が合わず、控除の前提が崩れます。事業用カードを分けると、この処理がぐっと楽になります。

引き落とし日と利用日のズレで起こる期ズレ・年度跨ぎの仕訳

ここが本記事で一番厚く書きたいところ。12月に使ったカード代が翌1月や2月に引き落とされる——この期ズレを放置すると、申告の数字がずれます。

引き落とし日と利用日のズレで起こる期ズレ・年度跨ぎの仕訳

未払金を使った決算をまたぐ仕訳の具体例

12月20日に事業用カードで5,000円の消耗品を購入。引き落としは翌1月27日とします。

12月20日(当年):(借方)消耗品費 5,000 /(貸方)未払金 5,000。1月27日(翌年):(借方)未払金 5,000 /(貸方)普通預金 5,000。

ポイントは、費用を「使った当年」に立てること。引き落としを待って翌年の費用にすると、原則の認識基準(役務提供日基準)に反します。

事業主借・事業主貸の使い方

個人用カードで事業の買い物をしたら「事業主借」、逆に事業用カードで私的な買い物をしてしまったら「事業主貸」で処理します。

例:事業用カードで3,000円の私物を買ってしまった。(借方)事業主貸 3,000 /(貸方)未払金 3,000。経費にはせず、事業主への払い出しとして抜きます。

私の実務感覚だと、事業用カードに私物が混ざるのが一番のトラブル源。混ぜたら必ず事業主貸で抜く、と決めておくと後が楽です。

分割払い・リボ払い・年会費・手数料の勘定科目

分割やリボで発生する手数料は、商品代金とは別物。本体は消耗品費などで、手数料は「支払手数料」で分けて計上します。

カードに関わる費用の勘定科目の例
内容勘定科目の例補足
商品・サービス代金消耗品費・仕入 など利用日で計上
分割・リボの手数料支払手数料本体と分けて計上
年会費(事業用カード)諸会費・支払手数料 など事業利用分が対象
遅延損害金支払利息・雑費 など発生時に計上

年会費は、そのカードを事業に使っているなら経費にできます。個人用と事業用が混在しているカードは、事業利用割合で按分する考え方になります。

クレジットカードで経費を支払うメリット

クレジットカード決済での経費の帳簿の付け方|個人事業主の仕訳と勘定科目を解説
クレジットカード決済での経費の帳簿の付け方|個人事業主の仕訳と勘定科目を解説

正直、経理目線でのメリットは大きい。私自身、現金払いから法人カードに切り替えて、月末の集計が劇的に楽になりました。

経費を一覧化して経理業務を効率化できる

利用明細に、いつ・どこで・いくら使ったかがまとまります。レシートを一枚ずつ拾う作業が減り、簡易的に仕訳できるのが大きい。

事業用カードを分けておけば、明細=事業経費の一覧になります。これだけで入力ミスがぐっと減ります。

支払いまで猶予があり資金繰りに余裕が生まれる

使った日から引き落としまでにタイムラグがある。この期間が、地味に資金繰りを助けます。

仕入や経費の支払いを後ろにずらせるので、手元資金を厚く保てる。小さな事業ほど、この数週間の差は効きます。

支払いでポイントが貯まる

経費の支払いでポイントが貯まるのも見逃せません。どうせ払う経費なら、現金より得です。

ただしポイントを使ったときの仕訳に注意が要ります。次の章で触れます。

クレジットカード払いの経費を計上する際の注意点

ここが慎重になるべきところ。見落とすと税務調査で指摘されます。

クレジットカード払いの経費を計上する際の注意点

仕入税額控除にはインボイス(適格請求書)が必要

2023年10月1日からインボイス制度が始まりました。消費税の仕入税額控除を受けるには、帳簿と適格請求書等の保存が必要です。

ここで要注意。カード会社から届く利用代金明細書だけでは、通常は適格請求書になりません。店側が発行する適格請求書やレシート(登録番号の記載など要件を満たすもの)を別途保存する必要があります。

ポイントやマイルを使ったときの仕訳

貯めたポイントで経費の支払いに充てた場合、その値引き分は費用になりません。

例:本来5,000円の備品を、1,000ポイント使って4,000円の請求にした。費用計上は実際に負担した4,000円が基本です。値引き分を含めて満額計上すると過大計上になります。

帳簿書類の保管義務と電子帳簿保存法への対応

帳簿や証憑には保存義務があります。保存期間は税目や帳簿区分で異なるので、所得税・法人税・消費税それぞれの要件を確認しておきましょう。

電子帳簿保存法では、メールやWeb明細などデータで受け取った証憑は、原則そのままデータで保存することが求められます。カードのWeb明細はここに該当しやすいので、紙に印刷して紙だけ残す、はやめた方が安全です。

私的利用との按分(家事按分)と計上できないケース

個人事業主でも、私的な支出は経費にできません。事業用と私用は区別して管理する必要があります。

自宅兼事務所の電気代や、仕事と私用で使うスマホ代などは、事業で使った割合だけを経費にします。これが家事按分です。割合は使用実態(面積・使用時間など)で合理的に決めます。

個人事業主と法人で異なる経費計上・仕訳の取り扱い

経費にできるかどうかの「事業関連性」という考え方は、個人事業主でも法人でも同じです。ただし実務の管理は変わります。

個人事業主と法人で異なる経費計上・仕訳の取り扱い

個人事業主の経費計上のポイント

個人事業主は、事業のお金と生活のお金が混ざりやすい。だからこそ事業用カードを分け、私的支出を経費から外すことが要です。

分けていない場合は事業主借・事業主貸を使い分ければ処理できますが、手間と間違いが増えます。

法人の経費計上と私的流用を防ぐ社内ルール

法人の場合、誰が・何のために使ったかを証憑で説明できることが重要です。法人カードでも、事業関連の支出なら経費処理の考え方は個人と同じです。

私的流用を防ぐなら、利用前の事前申請、用途の記録、上長承認といった社内規程を作っておくこと。カードの利用上限を部署や役職で分けるのも効きます。

税務調査で指摘されやすい点と対策

私が見てきた範囲で、指摘されやすいのはこのあたりです。

カード経費で指摘されやすい点と対策
指摘されやすい点対策
明細だけで内容が不明な支出レシート・適格請求書を併せて保存
私的利用が混ざった経費事業主貸で抜く/用途を記録
利用日と計上時期のズレ利用日基準で計上し未払金で消込
家事按分の根拠が曖昧面積・使用時間など算定根拠を残す

共通するのは「説明できる記録があるか」。証憑と仕訳がつながっていれば、調査は怖くありません。

経理を効率化するなら個人用と事業用カードの使い分けがおすすめ

【必見】経費ってどこまでOK?誰も教えてくれない経費について税理士が新しく解説します!
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ここは私の立場をはっきり言います。経理を楽にしたいなら、事業用カードを分けて会計ソフトと連携させるのが一番効きます。

会計ソフトとカードを連携した自動取込の手順

流れはシンプルです。会計ソフトにカードを登録し、明細を自動取込、勘定科目を割り当てて仕訳を確定する。

一度ルールを覚えさせれば、次回から同じ店の支払いは自動で科目が入ります。私はこれで毎月の入力時間が半分以下になりました。手入力のタイプミスもほぼ消えます。

注意点は前述のとおり。自動取込はあくまで明細データなので、インボイスが必要な取引はレシートや適格請求書を別途保存しておくこと。

三井住友カード ビジネスオーナーズと(NL)の2枚持ち

事業用カードの選択肢として、個人事業主や中小企業向けに「三井住友カード ビジネスオーナーズ」があります。事業の経費を一覧化して管理しやすいのが利点です。

このカードと個人用の「三井住友カード(NL)」を2枚持ちすると、ポイントを合算でき、対象店舗での還元が手厚くなる組み合わせとして案内されています。事業と個人で財布を分けたい人には現実的な選択肢です。

領収書を紛失したときの代替手段

レシートをなくしても、すぐ諦めないこと。カードの利用明細は、記載事項が足りていれば証憑の代替になり得ます。

明細だけで内容が不十分なら、店に再発行を依頼する、出金伝票に日付・金額・内容・相手先を残す、メールの購入確認を保存する、といった補強で対応します。電子で受け取った証憑はデータのまま保存しておくのが安全です。

クレジットカード経費に関するよくある質問

相談でよく一緒に聞かれる3つに、短く答えます。

クレジットカード経費に関するよくある質問

経費処理に必要なものは何か

経費を支払うメリットは何か

計上する際の注意点は何か

よくある質問

クレジットカード払いの経費を処理する際に必要なものは?
店から渡される領収書(利用控え)は不要です。代わりに、日付・金額・内容・相手先がそろった利用明細やレシートを証憑として保存します。仕訳は事業用カードなら未払金、個人用カードなら事業主借を使います。
クレジットカードで経費を支払うメリットは?
利用明細で経費を一覧化でき経理が効率化すること、支払いまで猶予があり資金繰りに余裕が出ること、支払いでポイントが貯まることです。会計ソフトと連携すれば入力の自動化も進みます。
計上する際の注意点は?
消費税の仕入税額控除には適格請求書が必要で、カードの利用明細だけでは通常足りません。ポイント利用分は費用にしない、帳簿や証憑は電子帳簿保存法に沿って保存する、私的利用は家事按分で外す、といった点に注意します。
クレジットカード経費とは?
事業に関係する支出をクレジットカードで支払い、経費として計上することです。支払方法ではなく取引が事業関連かどうかで経費になるかが決まります。
経費はいつの費用になる?
原則は引き落とし日ではなく、商品の引渡しやサービス提供を受けた利用日です。年度をまたぐ場合は利用日に費用を立て、未払金で引き落とし日に消し込みます。

最後に一つだけ。まだ現金中心の人は、まず事業用カードを1枚作って会計ソフトに連携するところから始めてください。仕訳の正確さも作業時間も、目に見えて変わります。

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梶田 誠一

元・中小企業向け会計事務所スタッフ(勤務歴8年) ・ フリーランスの経済・ビジネスライター
経理・会計ライター歴10年

中小企業の経理実務と法人カード活用を専門に取材・執筆。実際に複数の法人カードを自ら使い比べ、経営者目線で具体的な情報を届けることを心がけている。

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